魔王 JUVENILE REMIX「悪魔と契約した少年の戦い」／現代と異世界の接点で繰り広げられるダークファンタジー。

読書灯をふわりと灯し、そっとページをめくる前のドキドキをあなたにも感じてほしい──。

現代と異世界が接続し、悪魔と契約した少年が織りなす痛快なダークファンタジー、『魔王 JUVENILE REMIX「悪魔と契約した少年の戦い」』。

今宵はその扉を、一緒に開いてみませんか？

魔王 JUVENILE REMIX あらすじ徹底解説

高校2年生の安藤（あんどう）は、幼い頃から“腹語術”という人を操る異能を秘めつつも、いじめのトラウマから自分を隠し続ける……。

ある日、幼馴染・梓がいじめグループに蹂躙され、絶望の淵に追いやられた安藤の前に現れたのは、異界からの来訪者・悪魔アスモデ。

「君の願いを一つだけ叶えよう」と囁かれ、胸に秘めた復讐心を解放した安藤は、いじめっ子たちの大切な人を“寝取る”という淫靡かつ衝撃的な手段で、慟哭に満ちた復讐の歯車を回し始める──。

全97話、10巻にわたる緻密なプロットと衝撃の展開が、読後まであなたを縛りつける。

安藤（あんどう）
本作の第1部主人公。腹語術の力を抱え込み、自己犠牲的に周囲に迎合する高校生。
憂いを帯びた眼差しと、復讐にまい進するギャップが胸を刺す。
アスモデ（悪魔）
異世界からの契約者。ミステリアスな笑みと理知的な口調の裏に、冷酷な“試練”を宿す。
少年の願いを叶える代償とは何か？　その全貌は物語の核心を貫く。
安藤潤也（あんどう・じゅんや）
第2部主人公。兄の死の真相を追い求め、 “1/10の予知”という力を手にする。
兄とは対照的に奔放かつ冷徹。二人の交差が、物語に重層的な深みをもたらす。
梓（あずさ）
安藤の幼馴染。彼の“人としての最後の拠り所”であり、その喪失が全ての悲劇を引き起こす鍵。

初めて手に取ったとき、冒頭数ページで心臓が締め付けられました。

「復讐」という一語には多くの作品が挑戦しますが、本作が描くのはただの復讐劇ではありません。

幼い日のトラウマと、他者を支配する禁断の力との葛藤……。

ページをめくるごとに、安藤のぬくもりある声が耳元で響くようで、何度も読み返してしまう自分がいました。

自分自身、小学生時代にいじめを目撃し、何もできなかった経験が蘇るたび、安藤の行動に胸を打たれ、涙したものです。

その痛みを伴って物語に入り込むことで、単なる“エンタメ”を超えた深い余韻が残ります。

原作は伊坂幸太郎の小説『魔王』。

原作の骨子を尊重しつつも、大須賀めぐみ氏は設定を大胆に再構築。

学園ドラマの舞台設定や現代社会のディテールを織り込み、少年漫画としての読みやすさを追求。

「JUVENILE REMIX」の名の通り、原作のシリアスな雰囲気を、ポップかつ疾走感あるバトルシーンへと昇華させています。

この融合こそが、本作最大のセールスポイントと言えるでしょう。

復讐の美学と人間ドラマ
ラスト近くまで尾を引く兄弟の想いと、契約がもたらす倫理的ジレンマ。
彼らの葛藤こそが、本作をただのバトル漫画に留めない深みを演出。
予測不可能なストーリー展開
読者の常識を裏切る“悪魔の提案”が随所に配置され、緩急のついた起伏が心地よい。
緻密な伏線回収
第1部・第2部を貫く細やかな仕込みが、完結巻で一気に結実。
読了後の爽快感と余韻がクセになります。